脳卒中後遺症の症状の一つに深部感覚麻痺があります。
感覚麻痺の一つです。
眼を閉じた状態でも、手足の位置や曲がり具合、その動きなどを感じる感覚のことです。
脳卒中になり、この深部感覚が障害を受けることによって、
・自分の手足の位置が分からない。
・どの様に曲がっているのか分からない。
のような状態になります。
発症直後に病院のベッドで眼が覚めた時に、ベッドの中に何かが入っていて
「何だろう?」と思い、どけようとしているうちに、
「自分の足だった!」と気が付いて大変ショックを受けた、という話はよく聞きます。
懸命のリハビリの結果、ある程度動けるようになっても、この深部感覚が不完全だと、
自分の手足の位置や動いている状態が把握しきれていないので、
自分の手足が動いているという実感が薄くなります。
そのため、周りの人から「動けるようになって良かったね。」
と言われても、ご本人の実感がわかないというケースがあります。
感覚には、痛み・温度などを感じる表在感覚があり、これらを感じるセンサーが皮膚にあります。
このセンサーからの連絡が脳に届いて認識します。
深部感覚にも、筋紡錘・腱紡錘といわれるセンサーが、筋肉や腱の繊維の中にあります。
この筋紡錘・腱紡錘が筋肉の長さ・緊張を伝えることにより、関節の動きを脳に伝えています。
これらは、筋肉が異常にのばされたりして壊れないようにする、
安全装置のような働きもあります。
この他にも関節の中にも動きや振動を感じるセンサーがあり、関節の動きを脳に伝えています。
日常生活で物を手にもって動かしている時は、
・物を持っている、触れているという感覚と、
・実際の手足・身体の動きを把握する事
を同時にやっています。
人間の身体は本当に良く出来ています。
参考図書:生理学第二版、社団法人東洋療法学校協会